当記事では貸付方法やその手法の違いから分けた借入金の種類について説明します。
尚、下記の「借入金の種類について(前編)【第6回】」では運転資金など、資金使途別の借入金の種類<について説明していますので本記事と併せて確認しておきましょう。
短期資金と長期資金
「借入期間」で借入金の種類を分けた呼び方が「長期資金」と「短期資金」です。
借入期間1年以上の借入を「長期借入金(長期資金)」借入期間1年未満の借入を「短期借入金(短期資金)」と呼びます。
以降で説明するそれぞれの貸付方法は基本的に「証書貸付」のみが「長期資金」で、その他は「短期資金」となります。
証書貸付
証書貸付とは金融機関と借主が証書を交わして契約を締結する借入の方式です。
証書とは「金銭消費貸借契約証書」のことを言います。
一般的に設備資金や長期運転資金といった「長期資金」の借入の際はこの証書貸付となります。
「金銭消費貸借契約証書」には下記の契約の詳細な内容が記載されています。
【金銭消費貸借契証書の内容】
- 借主と貸主
- 貸付日
- 貸付金額
- 返済の時期と方法
- 利息
- 保証人と担保
「金銭消費貸借契約証書」には収入印紙を貼らなければなりませんが、費用は借主が負担します。
収入印紙代はその契約金額(=借入金額)によって異なります。
例えば、借入金1,000万円の場合の収入印紙は1万円です。
手形貸付
手形貸付とは借主が借入用手形を金融機関に差し入れて借入する方式です。
一般的に借入期間1年未満の短期資金の際に用いられます。
契約書を借入の都度締結しなくて済むため、手続きが楽というメリットがあります。
収入印紙代についても証書貸付より安く済みます。
例えば、手形金額(=借入金額)1,000万円の場合の収入印紙は2,000円です。
手形割引
受取手形のある事業者しか利用できない調達方法です。
販売先からの代金回収において、手形で受け取っている場合、手形期日より前に銀行にその手形を持ち込み、買い取ってもらうイメージで手形を現金化します。
当然ですが、手形の額面から利息に相当する「手形割引料」が銀行に引かれます。
「手形割引料」は証書貸付の利息に相当するため、借主によって異なるのが一般的です。
また、経常的に割り引く手形の銘柄(=借主にとっての販売先)の信用状況なども総合的に踏まえた上で割引限度額や割引手数料が決定されます。
当座貸越
当座貸越には「一般当座貸越」と「専用当座貸越」の2種類があります。
一般当座貸越
金融機関と事業者が当座貸越契約を行い、あらかじめ貸越限度を決定します。
その決められた貸越限度内であれば、当座預金の残高を超えて手形・小切手の決済を行ってもらえます。
つまり、当座預金と連動して自動的に貸越する商品です。
専用当座貸越
金融機関と事業者が当専用座貸越契約を行い、あらかじめ融資限度額(一般的には「融資極度額」と呼びます)を決定します。
借主はその極度額範囲内において借入と返済を期間内に何度も行うことができます。
借主にとって使い勝手の良い商品ですが、審査のハードルは非常に高いのが実態です。
金融機関側からすれば期間内にずっと極度額一杯まで貸しっぱなしになる可能性もあるためリスクが高く、当然に審査が厳しくなるということです。
まとめ
「借入金の種類について【第6回】」で自身の必要な資金の種類を確認した上で、どのような商品(借入方法・手法)が必要なのか確認しましょう。
証書貸付の場合は、資金使途が審査のポイントになり、審査のハードルはケースバイケースとなります。
短期資金の場合ももちろん同様ですが、一般的に手形割引、手形貸付、一般当座貸越、専用当座貸越の順で審査は難しくなります。
以上、借入金の種類について(後編)【第7回】…でした。
当記事は、公的融資制度の基礎知識【全10記事】の第7回となります。是非ブックマークをして必要な時に読み返すようにしてみてください。
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