銀行との融資交渉で必要な担保の基礎知識【第4回】

当記事では銀行から事業性資金を調達するにあたって必要な担保の基礎知識をまとめています。「抵当権」等の言葉自体は知っていても、その意味がよくわからないという方向けに例を含めてできるだけわかりやすく書いていますので、参考にしてみてください。

抵当権とは

抵当権とはいわゆる担保権のことです。

債務者(事業者)が債務(借入)に際する担保に不動産を提供している状態で債務者が返済できなくなった場合「債務不履行(デフォルト)」といいます。

債権者(金融機関)は抵当権を行使し債権(貸付金)の弁済を受けることができます。

普通抵当権と根抵当権

抵当権はおおきく2種類あります。

普通抵当権

普通抵当権は特定の債権を被担保債権とします。

例えば店舗建設資金3,000万円を借入れする際に店舗(建物)を担保として提供したとします。

借主がこの3,000万円の借入を完済した場合、この普通抵当権は消滅します。

根抵当権

根抵当権はあらかじめ設定した期日と極度額の範囲内の債権をすべて担保します。

例えば店舗建設資金3,000万円を借入れする際に店舗(建物)を極度額5,000万円で担保設定したとします。

借主がこの3,000万円の借入を完済したとしても期日まではこの根抵当権は存続します。

初めての融資で不動産担保を入れなければならない場合は上記いずれかになります。

今後も継続して借入が発生する可能性がある場合は根抵当権の設定契約をすることが多いです。

一方で、借入は今回限りということであれば普通抵当権の設定も可能性が十分あります。

抵当権の順位

抵当権は1つの物件に対して複数設定することができます。

「他の金融機関から借入れする際に担保に提供してしまったからもう設定できない」ということはありません。

例えば、A銀行から3,000万円借入れる際に店舗に抵当権を設定したとします。

その後、B銀行から5,000万円借入れるために店舗に再び抵当権を設定することも可能ということです。

複数の抵当権設定者がいる場合は、抵当権設定の登記をした順番が大切になってきます。

この例の場合はA銀行が一番抵当権者、B銀行が二番抵当権者となります。

上記の例の続きで、事業を辞めるので店舗を売却して、借入金を清算するとします。

店舗の売却金額は4,000万円でした。この場合、A銀行は3,000万円、B銀行は5,000万円の内1,000万円の回収をすることができます。

質権とは

質権も抵当権と同じ担保です。抵当権は不動産にのみ設定できますが、質権は特許権などの動産にも設定できます。

加えて、抵当権は「引渡し」(担保物件を債権者が占有する)が不要ですが、質権は「引渡し」が必須です。

実務上では担保に建物を提供し(=抵当権の設定)、その建物にかけている火災保険に質権を設定するということが多くあります。

銀行はリスクヘッジのため建物に担保を設定しますが、火災で建物が無くなってしまっては意味がありません。

そういった時のために火災保険などに質権を設定するのです。

火災保険への質権設定は「引き渡し」が必要ですので、火災保険証書などを銀行に提出する必要があります。

まとめ

不動産担保は基本的に抵当権か根抵当権です。

1回だけでなく、今後も継続的に借入する可能性がある場合は根抵当権、1回限りの場合は抵当権、というイメージです。

抵当権の設定は1つの物件に複数することができます。

動産も質権設定により担保にすることができます。

融資交渉の際に担保の話もでてきます。

融資担当者から担保提供の可否について聞かれた際は「担保にだせるものは無い」ではないと決めつけて回答するのではなく、「こういった条件(抵当権設定順位は下位)ならだせるかもしれない」というように前向きに検討する(アピールも含む)ことも大切です。

以上、銀行との融資交渉で必要な担保の基礎知識【第4回】…でした。

当記事は、公的融資制度の基礎知識【全10記事】の第4回となります。是非ブックマークをして必要な時に読み返すようにしてみてください。

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