事業資金調達を金融機関から初めて調達する際に気になるポイントとして保証人の設定があると思います。
当記事では保証人の設定について概要を説明します。
保証人と連帯保証人
事業性資金を金融機関から借入れする際はほとんどの場合、保証人が必要です。
後述しますが、信用保証協会の保証付であっても法人の場合は保証人が必要になります。
基本的には法人の場合は代表者が、個人事業主の場合はその当人が保証人となります。
保証人といっても事業性資金借入の保証の場合はそのほとんどが「連帯保証」です。「連帯保証人」と「保証人」の違いは下記3点あります。
3点とも保証人には認められており、連帯保証人には認められていない権利です。保証人より連帯保証人の方が責任が重いということができます。
連帯保証人には認められていない3つの権利
催告の抗弁権
催告の抗弁権とは銀行(債権者)が保証人に借入金を返済してください(このことを「債務の履行請求」と言います)と求めた際に、保証人が「まずは借りた本人(主たる債務者)に請求してください」といえる権利のことです。
保証人はこの権利を有しますが、連帯保証人にはありません。
検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が銀行(債権者)に対して、本人(主たる債務者)の財産に差し押さえなどの執行をするまで自分(保証人)の保証債務の履行を拒否できる権利です。
保証人がこの検索の抗弁権を行使した場合、銀行(債権者)は本人(主たる債務者)の財産から先に再押さえすることになります。
連帯保証人はこの権利がありませんので、債務者に返済能力があっても銀行(債権者)に返済しなければなりません。
分別の利益
分別の利益とは例えば、保証人が二人、債務者の借入金額が100万円の時、各保証人の保証債務額はそれぞれ50万円ずつになるということです。
連帯保証人の場合はこの分別の利益がありませんので、複数人の連帯保証人がいた場合でも全額返済しなければなりません。
信用保証協会の保証付貸付の場合
信用保証協会の保証付貸付についても法人の場合は原則代表者が連帯保証人になる必要があります。
但し、個人事業主の場合は不要です。
公的機関である信用保証協会も貸付金を回収する義務が当然にあるため、連帯保証人の設定を行なっています。
まとめ
個人事業主が信用保証協会の保証を利用する際は保証人が不要となりますが、それ以外は「連帯保証人」が原則必要です。
金融機関へ初めて借入れ申込みをする際に、連帯保証人の設定をしないよう交渉をしても基本的には難しいと考えておきましょう。
以上、銀行からの借入時の「連帯保証人」とは?単なる「保証人」との3つの違いを知ろう【第5回】…でした。
当記事は、公的融資制度の基礎知識【全10記事】の第5回となります。是非ブックマークをして必要な時に読み返すようにしてみてください。
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