経営者の重要な仕事の一つが「資金繰り」の管理です。その資金繰りの状況を経営者自身が把握しやすいものとしては、売上の減少、支払費用の増加です。これは日常の業務の中でも認識しやすいので、実際に営業戦略の見直しや支払費用の削減策を考えます。逆に経営者としても資金繰りが悪化していることに把握しにくいものとしては何があるでしょう?ここではその原因を見つけてそれぞれの改善策を見ていきます。
目次
- 1 資金繰りが厳しくなる7つの原因と改善策
- 1.1 【その1】投資の失敗による資金繰り悪化
- 1.2 【改善策】投資を行う際は、最悪の場合も想定しておく!
- 1.3 【その2】過度な棚卸資産(在庫)による資金繰り悪化
- 1.4 【改善策】実地で棚卸作業を定期的に実施して正確な状況をチェックする!
- 1.5 【その3】売掛金の回収遅延による資金繰り悪化
- 1.6 【改善策】過度な売上金はファクタリング会社へ売却も検討を!
- 1.7 【その4】無駄な節税対策による資金繰り悪化
- 1.8 【改善策】節税対策をする際は、前期中や期首に計画しておく!
- 1.9 【その5】売上が伸びている状況での資金繰り悪化
- 1.10 【改善策】早め早めに銀行に相談を!
- 1.11 【その6】社内の横領による資金繰り悪化
- 1.12 【改善策】資金管理は厳しくしている態度を見せる!
- 1.13 【その7】過度な接待交際費による資金繰り悪化
- 1.14 【改善策】交際費の過度な使い込みはしないように!
資金繰りが厳しくなる7つの原因と改善策
資金繰りが厳しくなるのには原因があります。その代表的な原因と改善策は以下の通りです。
【その1】投資の失敗による資金繰り悪化
事業を拡大するには投資は必要ですが、必ずしも投資後に投資額を回収できるとは限りません。また回収できたとしても、当初の計画以上に長期にわたる場合、資金繰りが厳しくなってきます。この際に投資資金が手元の現預金だけで賄えるならそれほど問題ないですが、銀行融資等からの借入金で賄う場合は、その返済はしなければならないので、さらに資金繰りが圧迫されます。また、借入返済がある場合、その返済期間が短すぎる場合も資金繰りに影響します。
【改善策】投資を行う際は、最悪の場合も想定しておく!
投資はくれぐれも固めに計画しておくべきです。万が一、当初の投資計画通りの利益が見込めなかったとしても、資金繰りが破たんすることなく、それでも問題無く事業を継続できるくらい余裕のある計画にすべきです。投資の失敗のリスクまで織り込んで計画しておきましょう。
また、借入返済期間の設定は、減価償却年数と同期間以上に設定する事が好ましいです。この理由としては、減価償却費が毎期定額で計上される定額法の場合に、「返済額=減価償却費」となるので、経営者としても資金と損益を把握しやすいということがあります。また、当然ですが、借入返済期間が短かいと、資金の流出が多くなるので、資金繰りが厳しくなり、逆に長すぎると金利負担が重くなります。
尚、すでに銀行融資で借入しており、その返済負担が重すぎる場合は、リスケジュール(通称リスケ)交渉も検討すべきでしょう。リスケについては下記の記事を参照にどうぞ。
リスケ交渉前に絶対に知っておくべき銀行側の2つの本音とは!?
【資金繰りが改善できる!】リスケ交渉時の3つの交渉ステップとは?
【リスケ交渉の予備知識】延滞時の預金ロックを避ける方法!
【保存版】銀行とのリスケ交渉時の4つのNG集
【その2】過度な棚卸資産(在庫)による資金繰り悪化
棚卸資産とは平たくいうと「在庫」のことです。この在庫が多すぎる場合、運転資金が滞留しているということで、資金繰りが悪化しやすくなります。また、在庫の場合倉庫などの保管費用やそれらを管理するための人件費などもかかってきます。自社の棚卸資産の過剰にあるかどうか確認するには棚卸資産回転期間を正しく算出する必要があります。
棚卸資産回転期間 = 棚卸資産 ÷ 年間売上高 x 365日
この期間が長ければ長いほど現預金が棚卸資産として滞留していることとなります。適正な棚卸資産回転期間は業種により異なりますが、おおむね1か月以内が好ましいと言われています。
【改善策】実地で棚卸作業を定期的に実施して正確な状況をチェックする!
上記の棚卸資産回転期間は正確性が重要ですので、在庫のある実地で信頼できるスタッフ、または社長自身が棚卸資産の状況を定期的にチェックすることが肝要です。
【その3】売掛金の回収遅延による資金繰り悪化
取引先へ請求書を出してちゃんと期日までに売掛金が振込がされることは当たり前のことのようですが、中にはその売掛金の支払が遅れる場合もあります。その遅延によって、自社の資金繰りがきつくなる原因の一つです。取引先が少ないうちは取引先毎に支払サイトは把握していますが、多くなってくると取引先毎の支払いサイト管理表は必ず用意するようにしましょう。
【改善策】過度な売上金はファクタリング会社へ売却も検討を!
売掛金がまとまった金額で計上されている状況で資金繰りが厳しい場合は、これらの売掛債権をファクタリング会社に売却して早期に資金を調達することも検討しましょう。尚、資金繰りが改善するメリットがあると同時に、手数料がかかるのでデメリットもありますので、その両方を検討して判断します。
【その4】無駄な節税対策による資金繰り悪化
決算前に節税対策ということで余計な経費を使ってしまう経営者が多くいます。ただ、これは多くの場合資金繰りを悪化させるだけで節税対策になっていません。無理に節税対策するよりも、税金を支払って内部留保を増やした方が結果的に資金繰りには有利に働く場合が多いです。
【改善策】節税対策をする際は、前期中や期首に計画しておく!
決算期前になって慌てて節税対策を行うのではなく、前期中または期首に経営計画のもとに資金繰り表を作成して、早めに決算予測と納税予測をしておき、その上で節税対策をするようにしましょう。
【その5】売上が伸びている状況での資金繰り悪化
急激に売り上げが伸びている会社で起きる現象の一つです。売上が増加して利益も増加していますが、実際の取引先からの支払いサイトは1か月以上後で、仕入先には前金で支払うような状況の場合におきやすいです。
【改善策】早め早めに銀行に相談を!
売上が伸びている状態なので、銀行も比較的融資に前向きの場合が多いです。但し、創業間もない場合、信用保証協会付での融資となる場合も多く、融資実行まで2か月以上かかることもザラですので、早め早めに銀行に相談するようにしましょう。
【その6】社内の横領による資金繰り悪化
「横領」というとニュース等で放送される程度で、他人事のように感じる経営者の方も多いですが、残念ながら中小企業では日常茶飯事で発生しています。旅費や細かい経費の領収書の偽造、取引先と結託して水増し請求等、横領の手法に枚挙にいとまがありません。
【改善策】資金管理は厳しくしている態度を見せる!
残念ながら横領を100%防ぐことは難しいですが、まずは社長自身が資金管理をしっかりしている点を社員にアピールすることが重要です。また、当然ですが社員に対して十分な報酬を支払うことや、社内環境が充実を図ること、また社員との円滑なコミュニケーションを通して、さまざまな情報を把握しておくことも横領リスクを軽減させることに寄与します。
【その7】過度な接待交際費による資金繰り悪化
資本金1億円以下の中小企業の場合、年間の接待交際費の600万円のうち90%が損金にすることができます。逆に残りの10%と600万円を超える接待交際費に関しては損金になりません。
【改善策】交際費の過度な使い込みはしないように!
これも当然ですが、接待交際費も資金の流出ですので、必要以上に使わないようにすることが肝要です。
以上、「資金繰りが厳しい時の9つの原因と改善策【保存版】」のまとめでした。
尚、資金繰りが厳しい事業者の方で、すぐに資金調達が必要な方は上記の改善策の一つでも触れましたが、ファクタリング(売掛金の早期売却)の利用をおすすめします。
・様々な事情で金融機関からの借り入れによる資金調達が難しい方
・すぐにつなぎ資金が必要な方
・創業後、1年以上の営業実績が無い方(決算が終わっていない方)
・税金未納がある方
・赤字決算の方
特に赤字決算の場合は銀行との今までの取引関係もあり、追加融資が可能な場合も多々ありますが、税金未納の場合は、銀行は絶対に融資をしてくれませんのでファクタリングしか方法がないかもしれません。日本ではまだまだ知名度の低い資金調達法ですが、経済産業省も推奨している100%合法の資金調達スキームです。ちなみに米国ではおよそ15%の利用に対して、日本では1%程度です。
法人個人事業主問わず、毎月法人の取引先に対して安定した売掛金がある事業をしている事業者は、売掛金を早期にファクタリング会社に売却して資金調達を行えます。売掛金があれば、最短翌日に資金調達をすることも可能です。こちらのフォームで資金調達額の目安がすぐにわかりますので今すぐ簡易診断してみてください。