資金繰りは事業者にとって常に考えなければいけないことですが、その中で絶対に気を付けるべきことが4つあります。今回はその点についてまとめます。
借りた金は返すな!
会社経営をするうえで手元資金が常に潤沢にあるというのが好ましいですが、実際には稀です。多くの事業者の場合、どこかのタイミングで銀行からの融資を受けて事業への投資を加速させたりします。言葉としては融資といいますが、実際には「借金」です。借金は悪、借金をすることはリスクということが刷り込まれてしまっている経営者もおります。そのような経営者は、せっかく銀行から低金利で長期返済期間を設けてもらっているにもかかわらず、すぐに繰り上げ返済してしまう方もいます。
これは実にもったいないことです。事業収益が今後全く改善する見込みがない場合を除いたら、絶対に返済しない方がよいでしょう。コミットメントライン(銀行と予め契約した期間・融資枠の範囲内で銀行が融資を実行することを約束すること)のような契約をしていない限り、早期返済して、もしまた次回資金繰りが厳しくなった時に銀行に相談しても、その時点で銀行が再度融資してくれる保証は一切ありません。
早期返済したこと自体は、銀行に対しての印象がプラスになりますが、銀行としては、ずっと借りてくれてちゃんと期日に返済してくれることが一番好ましいのです。利息で儲けていますから、早期返済されてしまうと、本来設けられる利息分が得られないからです。
低金利で長期返済期間の融資を受けられた場合は、「倒産リスクのための保険料」と考えておくのが良いでしょう。
広告費用の見直しが大事!
会社にもよりますが、主にコンシューマ向けの商品等を販売している会社の場合、広告宣伝費がかかります。最近のネット広告は紙媒体等と比較して費用対効果が見えやすいとは言われていますが、それでも広告費が当月回収できている場合は少なく、広告費用を先出になりますので、それも資金繰りを圧迫する原因の一つです。広告を展開するときは、徹底的にシビアに検討するようにしましょう。
その設備投資は「本当に必要?」と考える!
企業経営者の中には、会社を大きくして「企業帝国」を作ること自体がプライオリティになってしまっている方も多くいます。もちろん、多くの従業員を雇って、立派なビルで会社経営することは大きなモチベーションになるでしょうし、周りからも尊敬されるかもしれません。ただ、税金を支払っても余りあるほどの事業収益が残って、来期以降もずっとその事業収益が見込めるようなら良いですが、内部留保(簡単に言えば、会社が持っている現預金等)がそれほど無いような状況なのに、借入資金を高価な内装や設備品等に使ってしまうのは非常に危険です。
経営者の主張としては、「良い社員を雇うためには立地が大事」「社員のモチベーションを上げるには良い椅子や内装も大事」等など、たしかにもっともな部分もありますが、実際に「社員の生産性が上がるかどうか」をしっかり考えて見極めることが重要です。多くの場合、現場の社員の希望としては、「そんなことよりも給料やボーナスを増やしてほしい」というのが本音だったりしますので。
節税のために車を買うのはダメ!
多少利益がでたくらいで、節税のために社用車を購入したりするのは大きな間違いです。車両購入費用(現金の場合)は先出ですが、すぐに全額費用とはならず、減価償却費として毎月一定額ずつの費用計上することとなりますので、これも資金繰りを悪化させる原因の一つです。そもそも特に車は購入して名義登録された時点ですでに売却価格が下がりますし、いざ買取業者等に依頼して売却するとなると半値~3分の1以下になることもザラです。仕事でどうしても必要ということならば、リースを組むことも検討しましょう。