「担保にできる不動産も保証人もいない…」「これから起業したいけど信用や実績がない…」
こんな状態の場合、なかなか融資を受けることができません。
金融機関から見れば、回収不能のリスクがあるため仕方ないのかもしれません。では、実績や信用がないときは、融資を諦めるしかないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。信用実績ゼロでも融資してくれる頼もしい制度が日本にはあるのです。今回は、信用実績ゼロのときに頼れる2つの資金調達法について紹介していきます。
ある男性(弘樹くん)は、カフェ事業をスタートさせるため銀行から融資を受けたいと考えています。でも、脱サラ起業のため、まだ信用も実績もありません。
また、できれば不動産担保や保証人を立てずに出来る限り周りに迷惑をかけない方法で融資を受けたいと考えています。
はたして、信用実績ゼロの経営初心者の弘樹くんが融資を受ける方法はあるのでしょうか?この辺りについても、解説していきます。
目次
信用実績ゼロのとき頼れる【2つの資金調達法】とは?
信用や実績が乏しい場合、下記2つの資金調達法がおすすめです。
・日本政策金融公庫から借りる
・地方自治体の制度融資を使った上で、銀行から借りる
どちらも国や地方自治体などの制度です。
海外では、信用実績ゼロでも将来性が望めるビジネスや経営者には、ベンチャーキャピタルからの出資が期待できます。(ベンチャーキャピタルとは、ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社のことです)
ですが、今の日本では現実的にベンチャーキャピタルからの出資はあまり期待できません。そのため、中小企業や個人事業主が資金調達をするときは、ほぼ借入をすることになるのです。(これは、起業時でも同じです)
でも起業したての小さな会社は、実績や信用がなく融資の審査になかなか通りにくい。また大手銀行は、1度も決算を迎えていない会社の評価をどのようにすべきかそのノウハウ持っていないため、融資することに二の足を踏むのです。だから、まだ信用や実績がまだ乏しい場合は、先ほど紹介した2つの資金調達法がおすすめなのです。
個人事業主や小さな会社の強い味方!日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、株式の100%を政府が所有している政府系の金融機関です。銀行や一般の金融機関を助け、国に従いながら中小企業への融資、個人事業主への少額融資、起業時の融資などを行っています。
日本の経済発展に貢献することが目的の金融機関。それが日本政策金融公庫です。個人事業主や小さな中小企業、これから起業する人の強い味方となってくれる機関です。
参考記事:【全国版】資金繰りに困った時に融資の無料相談ができる公共機関一覧
無担保無保証で借りられる!金融公庫の「新創業融資制度」とは?
金融公庫には、無担保無保証で借りられる「新創業融資制度」があります。この融資制度は、起業したての人や実績や資金が少ない人におすすめです。金利が若干高めですが、そこは仕方ないでしょう。
また金融公庫は、通帳や口座がありません。そのため融資の振込みや返済は、一般銀行を通じて行われています。一般の銀行と比べ、定期を組んだり給与を振り込んだりといった取引実績が必要ないため、「公庫との取引ははじめてです」という起業家でも安心して融資の申し込みができるでしょう。
金利が低く審査厳しめ!地方自治体の「制度融資」とは?
制度融資とは、都道府県や市区町村などの地方自治体と信用保証協会、銀行などの金融機関、この3者が協力して公的資金を融資する制度のことです。ただ地方自治体は、直接融資するわけではありません。
1.地方自治体が、銀行などの金融機関に貸付用の資金を預ける
2.銀行から、中小企業や個人事業主に融資する
このような流れです。このとき融資対象になるのは、財務基盤が弱い・実績が少ないなどの理由で融資の審査が通りにくい中小企業や個人事業主です。
また制度融資を受けるには、信用保証協会の信用保証が必要です。
保証人代行をしてくれる「信用保証協会」とは?
信用保証協会は、保証料金を払えば「保証人代行」を引き受けてくれます。(信用保証協会にも一定の審査があります)
万が一、あなたが返済不能になったとき信用保証協会が返済してくれるため、制度融資が受けられるのです。信用保証協会が借金を肩代わりすること「代位弁済」と呼んでいます。でも、あなたの借金が免除されたわけではありません。あくまでも、代理で返済してくれただけ。信用保証協会には、債務免除制度はありませんから、のちのち支払う義務があります。
弘樹くんのケースで話しましょう。
弘樹くんは、制度融資を利用することにしました。無事審査に通り1,000万円の融資を受けました。でも、残念なことに3年後、弘樹くんのカフェは経営難に陥り返済不能になってしまったとします。このとき、弘樹くんの代わりに返済してくれるところが信用保証協会です。信用保証協会が一旦立て替えてくれるのです。そのあと信用保証協会と相談しながら新しい返済計画を立て、時間がかかっても少しずつ信用保証協会に返済していくのです。
制度融資は、自治体により条件や限度額が異なります。また制度融資は、日本政策金融公庫よりも審査が厳しいと言われています。ただ、信用保証料や金利の配偶処置を設けている自治体が多いので、実質的には制度融資の方が金利を安く抑えられます。
あなたがはじめての融資で公庫融資と制度融資どちらにしようか迷っているなら、まずは金利の安い「制度融資」がおすすめでしょう。
審査が通りやすくなる!?プロパー融資とは?
プロパー融資とは、すでに銀行と取引実績がある場合、信用協会を通さず融資を受けることです(プロパー=銀行が独自に行う融資)。過去の実績や事業計画・保証人の力次第で有利な条件での借入が可能になることもあるのです。また先にプロパー融資に申し込んでおけば、公庫融資や制度融資の審査が通りやすくなる可能性もあります。金融機関はリスクを嫌うため、プロパー融資の審査が通っていれば「あの銀行が貸すならうちも…」となる可能性があるのです。
銀行窓口への飛び込み融資願いは、NG!
自分からいきなり銀行窓口に行き、融資を申し込まないでください。借り手側からアプローチされると銀行は警戒します。
取引実績のある銀行が現状ゼロなら、顧問税理士や商工会議所に頼んで担当者を紹介してもらいましょう。
信用実績ゼロでも融資を受けるポイントは?
POINT・信用実績ゼロでも、公庫融資と制度融資が受けられる!
・プロパー融資を先に申し込んでおくと、公庫融資や制度融資の審査が通りやすいことも!
・まずは金利の低い制度融資へ。そのあと公庫融資を!
・各自治体により限度額や条件が異なるため、近くの自治体HPなどで確かめよう!