ビジネスをしていると友人や知人から「絶対に迷惑をかけないから、保証人になってくれ」と頼まれることがあります。付き合いが長いと「この人なら信用しても大丈夫だろう」「困っている友人を助けたい」と感情が先走り、気安く保証人の依頼を引き受けてしまいがちです。
ですが、待ってください!
その保証人の依頼、本当に引き受けても大丈夫なのでしょうか?保証人になることは、大きな危険が潜んでいます。依頼を引き受けるか否かは、このページを読んでから決めてください。
ある男性(弘樹くん)が付き合いの古いビジネス仲間から、「絶対に迷惑をかけないから、保証人になってくれ。万が一俺が病気で倒れても、俺の資産があるから安全だから!」と頼まれました。その友人は本当に困っています。
以前世話になったこともあり、保証人を引き受けるかどうか迷っている弘樹くん。「力になってやりたいが、万が一借金の肩代わりをさせられたら…」と心配になり、二の足を踏んでしまうのです。
はたして、弘樹くんが依頼された保証人の内容は本当に安全なのでしょうか?その辺りも話していきましょう。
目次
保証人は「単純保証人」と「連帯保証人」の2種類がある!
保証人には、「単純保証人」と「連帯保証人」があります。単純保証人は、連帯保証人と違い貸し手(金融機関)にいろいろな権利を主張できます。
弘樹くんのケースで話してみましょう。
弘樹くんは、友人の単純保証人になりました。半年後、B銀行が本来の借り手である友人よりも先に弘樹くんに返済を要求してきました。
このとき、単純保証人なら、「先に本人と連絡をとってくれ!自分はあくまでも保証人だから」と権利を主張することができます。これが連帯保証人の場合は、主張できません。また、友人の会社が突然倒産して返済不能になったとします。でも、友人には一定の資産があります。この場合、単純保証人である弘樹くんは「あいつには、まだ支払い能力があるから、まずはその財産から差し押さえしてくれ!」と要求する権利があります。
でも連帯保証人には、この権利がありません。このように単純保証人と連帯保証人では、主張できる権利に大きな差があるのです。貸し手である金融機関は、債務を回収しやすい連帯保証人を提案してくることが多いでしょう。
借りた本人に財産が残っていても、連帯保証人の財産が差し押さえられるって本当?
連帯保証人は単純保証人に比べ、不利な立場に立たされます。
万が一、借りた本人が返済不能になれば、借金した本人に財産が残っていても、連帯保証人の財産が先に差し押さえられる可能性もあるのです。
弘樹くんのケースで話してみましょう。
弘樹くんは、友人を信じて連帯保証人になりました。でも、半年後、友人の会社が突然倒産して返済不能に。このとき、自分以外に保証人が2人いると知りました。でも、残り2人の保証人は、単純保証人です。
この場合、連帯保証人である弘樹くんが借金を全額背負う義務を負っているのです。銀行から「全額返せ!」と言われれば、連帯保証人は拒否できません。連帯保証人である弘樹くんが全額返済したあと、単純保証人である他の2人に「僕が先に返済しておいたから、三等分してくれ」などと各自の分配額を請求することになるのです。
銀行は、借金した本人に支払い能力があるかないかは極論どうでもいいのです。一番回収しやすいであろう連帯保証人に返済要求を出すことができるわけです。
単純保証人であれ連帯保証人であれ、借金を肩代わりすることに変わりない!
保証人を引き受ければ、単純保証人であれ連帯保証人であれ、借金を肩代わりすることには変わりありません。多少主張できる権利は違えど「連帯保証人になる」=「自分が借金したことと同じ状態になる」のです。
そのため、どれだけ親しい友人や親族であっても、保証人を引き受けるかどうかは慎重に吟味してください。全く悪気がなくても返済不能になることはあるのですから。
単純保証人と連帯保証人のポイントは?
POINT・単純保証人は、「先に本人に連絡してくれ」「先に本人の財産を差し押さえてくれ!」と主張する権利がある。連帯保証人にこの権利はない!
・連帯保証人は、金融機関から返済要求を受ければ、返済する義務があり拒否することはできない!
・連帯保証人は他に保証人がいても、その保証人が単純保証人であれば、たとえ1人でも全額負担する義務がある!
・連帯保証人であれ単純保証人であれ、借りた本人が返済不能になれば、肩代わりしなければならない!