金融機関の融資審査は、返済能力があるかどうか、その確実性や信用性が判断基準とされ、担当者が起案した「稟議書」が課長、支店長へと回付されて決議されます。
「稟議書」に、記載される必須事項の中で「①資金使途②返済原資③担保④取引メリット」の4つは融資審査において大切なポイントとなるので、詳しく知っておきましょう。特に①資金使途と②返済原資については、このふたつで融資がほとんど決まると言われるほどとても重要とされています。
1.資金使途 ※重要
2.返済原資 ※重要
3.担保の有無
4.銀行側にとって取引するメリット
ポイント1 資金使途の明確化
資金使途とは融資資金をどのように使用するかという事で、明確にする必要があります。設備投資と運転資金の2つの項目に分けて、融資金の使い道が、将来の「返済原資」を生み出せるのかどうかを判断します。設備投資では、他の設備では代用することができないと等、事業資金の必要性が求められ、運転資金では、「つなぎ資金」として従業員の給与や経費など変動制のある資金を計上する必要があります。
金融機関は貸し倒れリスクを負わなければならないので、資金使途が不透明であったり、個人の趣味や無謀な投資のような今後の返済に結びつかない意味の無いものであったりすると、融資を受けることはできません。
ポイント2 返済原資の確実性
返済原資とは借入金を返済するためのお金で、直近の決算書から読み取れる数字によって考えられる妥当な返済可能額をいいます。融資審査において、どれぐらいの規模でいつ売上があがるのか将来のキャッシュフローを明確に予測し、どのように返済原資を作るのかが最重要ポイントとなります。
融資審査を受ける数年前までの決算書の提出を銀行から求められることも多いので、決算書や取引履歴などは提出できるようにしておくとよいです。返済原資については、今すぐの話ではなく、将来の利益の中から作られるので、前もって綿密に計画を練り、説得力のある説明を出来るようにしておいてください。
ポイント3 担保の有無
担保とは、借人者が借入金の返済不能になった場合に備えて、金融機関が貸したお金を回収する方法のことになります。借入者以外の人の財産を担保とするため保証人を立てる「人的担保」と不動産など特定の財産を差し出す「物的担保」の2つの方法があり、担保は万が一返済が滞った時に使われる保険のような役割をしています。
金融機関の日常取引では、貸したお金に利息を乗せて回収する事で利益を生み出しているので、金融機関にとって担保は貸し倒れにリスクに対する補助的なものでしかありません。担保が十分にあるからと高をくくって資金使途や返済原資を手抜きして作成すると、融資を受けられず痛い目を見ることになるので注意してください。つまりは、資金使途や返済原資について、納得させられるだけのしっかりとした説明ができれば、担保は不要となる性質のものです。
ポイント4 金融機関側の取引メリット
金融機関の貸出金の利息で収益をあげることを本業としていますが、同時に金融機関は貸し倒れリスクを背負いながら融資をしているのです。そのため、融資金の利息支払い以外の面で金融機関にとってメリットとなる材料を提示してあげることが、融資審査に通る可能性を高める重要なカギといえます。
融資審査に関わる担当者、課長、支店長には、ある一定の目標と呼ばれる「ノルマ」を課せられている事が普通ですので、行員のノルマに協力する話を持っていけば、嫌な顔をされることはありません。例えば、担当者が勧める決済サービスを利用することでやる気になってくれるかもしれません。
金融機関は本業である貸出金による利息収入業を維持発展させるために、売上入金、仕入支払、クレジットカード、給与振込などの決済サービスの取り扱い数を増やせるように力を入れています。ここ数年は、本業だけでは収益を十分に確保できなくなってきた為、金融商品の販売等による手数料で利益を生み出す商売も行っています。
貸し出しと収益の両方を得られる資金調達の話をすることで行員を上手に動かし、担当者が少々の無理を聞いてくれる状況を作ることができれば理想的です。
以上、金融機関の融資審査で見られる4つのポイント…でした。