事業者ローンの審査基準は、銀行の融資審査に比較すると格段に甘いものと考えられます。
これはいうまでもなく、事業者ローンは銀行から融資を受けられない事業者が利用することを想定されているためです。
それだけに利率も高くなっていますが、銀行との融資取引が困難とされている零細企業や個人事業主にとっては、資金を調達するための有効な手段となっています。
その事業者ローンを最大限に活用するには、融資の申込から実行までをスムーズに進めることと、できるだけ必要希望額を融資してもらえるようにすることです。
そのためには、融資の審査ポイントを理解し、マイナスとなる部分を極力少なくすることが必要です。
目次
個人事業主は銀行のプロパー融資はあきらめるべき
銀行のプロパー融資の場合、審査に長い時間がかかります。
これは、取引実績、決算書上の数字、担保の有無や担保価値、財務内容、返済原資、その他多くの項目にわたる情報を集め、融資の可否を判断します。
審査は慎重に行われ、結果が出されるまでに2か月以上かかることも多くあります。
財務状況のよい大手企業であればその期間も短縮されるのでしょうけど、零細企業や個人事業主の場合、銀行からみれば「リスクの高い先」と考えられているため、審査には長い時間がかけられます。
それでも、無事に融資を受けることができればよいのですが、零細企業や個人事業主は長い業歴があり、財務内容が良好で、さらに担保があるなどの条件が揃わないと融資を受けることはきわめて困難です。
都市銀行はもちろん、第二地銀や信金のクラスであっても、プロパー融資は簡単に受けられるものではありません。
開業して数年の個人事業主にとっては、銀行のプロパー融資は資金調達の選択肢に入れられるものではないと考えるべきでしょう。
個人事業主の方には、あらかじめビジネスローンの審査を通しておいて、資金調達をできる選択肢を広げておくべきです。以下の大手ビジネスローンはオンライン手続きのみで10分程度で完結します。一度審査が通れば、審査によりますが、数百万円程度の資金を最短翌日には調達できます。
・AGビジネスサポート 審査によりますが、1万円〜1,000万円まで融資可能 ※新規取引時は上限500万円
また、以下のような個人事業者の方で、どうしても資金調達が必要な方はファクタリング(売掛金の早期売却)をおすすめします。
・様々な事情で金融機関からの借り入れによる資金調達が難しい方
・すぐにつなぎ資金が必要な方
・創業後、1年以上の営業実績が無い方(決算が終わっていない方)
個人事業主でも、毎月法人の取引先に対して安定した売掛金がある事業をしている事業者は、売掛金を早期にファクタリング会社に売却して資金調達を行えます。売掛金があれば、最短翌日に資金調達をすることも可能です。こちらのフォームで資金調達額の目安がすぐにわかりますので、今すぐ簡易診断してみてください。
いずれにしても、資金調達がすぐにできる環境を準備することに早すぎることはありませんので、上記のビジネスローン各社とファクタリングの簡易診断の申込は同時にしておくことをおすすめします。
大手事業者ローン会社の審査にはスコアリングシステムが使われる
そうなれば、資金調達の方法として考えられるのは事業者ローンです。
事業者ローンは早ければ即日、遅くとも数日から1週間程度で融資の可否が決められ、融資が実行されます。
消費者金融のカードローン並みのスピードで審査がなされ、事業資金であるため、融資実行額は数百万円の単位になります。
では、なぜそれだけ早いスピードで融資の判断がなされるのでしょうか。
大手の事業者ローン会社においては、「スコアリングシステム」とよばれる自動審査システムが用いられています。
申込時には本人確認のための身分証明書コピーの他、決算書や確定申告書、収支内訳書等の提出が必要とされています。
銀行のプロパー融資に比べると、提出書類はほんのわずかです。
スコアリングシステムにおいては、提出された決算書などをコンピュータのデータベースに入力し、自動的に融資の可否が判定されます。
融資を判断するのは、人間ではなくコンピュータということです。
このスコアリングシステムで重要視される項目は、事業の業態、業種、従業員数や社員数などです。
他社から既に融資を受けているかどうかも重要なポイントになります。
借入件数が多ければ不利になりますし、返済の滞納があれば大きなマイナスポイントになります。
融資の申込書には必ず、他社借入件数と現在の借入残高を記入する欄があります。
事業者ローンの会社はそこに書かれた内容をもとに審査するのではありません。
金融機関が情報共有に利用している信用情報機関を通して、借入件数と借入残高とを確認します。
そのため、そこに「借入なし」と書いたり、500万円の借入残高があるのに「100万円」と書くなどしても、すべて正確な情報がわかってしまいます。
少々の誤差であれば問題はありませんが、極端に差がある場合は悪意を持って隠そうとしていると判断されることもあるため、正直に正確な数字を書いたほうがいいでしょう。
中小事業者ローン会社の審査は担当者によるアナログ方式が多い
現在はスコアリングシステムによる融資の審査が主流になっていますが、このシステムの導入には多額のコストがかかります。
大手の金融機関であれば、会社に資金力があり、また連日多数の融資案件を審査しなければならないため、業務の効率化を図るためにも、積極的にスコアリングシステムの導入を進めています。
しかし、中小規模の金融機関は、今も融資の担当者によるアナログの審査を行なっているケースが多くあります。
大手の事業者ローン会社で、即日審査をうたうところはスコアリングシステムを導入しており、数日から1週間ほどかかると明示している会社は人の手によるアナログ審査であることが多いと考えられます。
資金需要に緊急性がないなら、アナログ方式がいい
スコアリングシステムによる融資の審査は、表面上の数字がすべてを決める審査です。
そのため、融資の申込をして不本意な結果となった事業主からは「机上の審査だけですまされた」、「事業の本質を理解しようとせず、帳簿だけ見て判断された」など不満の声があがることも多くあります。
実際に、スコアリングシステムにおいては、その事業の将来性、市場の成長性、競合優位性、そして、経営者の事業に対する熱意、人柄、それら数字に表れない部分はまったく評価されることがありません。
財務状態が良好で、他社からの借入もない場合は、即日審査をうたう大手の事業者ローン会社に申込をして、そうでない場合は、中小規模の事業者ローン会社への申込をするのもいいかもしれません。
銀行と事業者ローン会社であれば、金利に大きな利率の差がありますが、事業者ローン会社どうしであれば、上限金利はほとんど同じです。
ただ、融資実行の可能性が高いのは中小の事業者ローン会社でしょう。
日本政策金融金庫の審査ポイント
では公的融資においてはどのような審査基準が用いられているのでしょうか。
いちおう「セーフティネット」と称して、「銀行から融資を受けられない零細規模の事業者に資金を融通する」とのふれこみを持つ日本政策金融公庫の審査について考察いたします。
まず、最重要視されるポイントが、税金を完納しているかどうかです。
赤字申告により課税されていない場合は、納付すべき税がないとして問題ありません。
ただ、財務状況が悪いと判断されることはしかたがありません。
納期が過ぎているのに払われていない未納の税金がある場合は、大きなマイナスポイントとなります。
商工会議所を通じて行なうマル経融資は、それだけで申込の受付ができなくなります。
ただ、未納の税金を払うために融資を受けたいと理由づけをした場合は、それを必須条件として融資が認められることもあります。
この場合、融資実行後すぐに未納の税金を納付し、その証明をすることが必要とされます。
次に、財務状況を見られます。
利益が出ていない赤字決算では、返済が見込まれないと判断されることになります。
個人事業主は確定申告の際、事業経費以外の家事支出の金額を経費に算入して利益を圧縮し、課税額を抑えることが多くありますが、やりすぎて何年も赤字続きの状態にすると、返済能力がないものと判断されます。
また、業歴も重要なポイントとなります。
制度融資の中には、2期分の決算書(または確定申告)が必要となっているものもあります。
開業して2年を超えていなくても申し込みができるものもありますが、その場合は利率が少し高くなります。
資金需要に緊急性がなく、あと数か月待てば事業年度が2年を超える等であれば、少し待ってから融資の申込をするのもひとつの方法です。
その他、経営者の年齢も審査のポイントになることがあります。
20代前半など若い場合は、社会経験が浅いと見られますし、年齢が高い場合は、健康状態などを不安視される可能性があります。