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【起業から経営破綻まで】信用保証協会から「融資不可」を突きつけられた理由とは?

融資審査NG

起業の背景

私は大手通信会社で11年間勤めた後、父親のIT系の事業(工場の自動化のシステム、監視制御)を継ぐ形で起業をしました。

父の会社は老舗の大学発ITベンチャーで35年の実績を持つ会社でしたが、13年前に巨額の費用を投じて開発したwebアプリケーション開発ツールのプロジェクトが失敗に終わり、12憶の負債を抱えることになってしまいました。

それ以降は民事再生手続きを受け、社会保険料の未納分などの債務を返しながら、細々と事業を継続していましたが、いよいよ資金繰りが厳しく、会社の継続が難しい状況になってしまいました。

民事再生会社だったために、金融機関との取引はできず、私が起こした会社に従業員と技術、そしてクライアントを移行して事業を継続する計画でした。

私が起こした会社は新規の会社となるため、新事業創出融資の対象になると見込み、従業員と顧客に新会社への移行の計画を提示しました。

思った以上にスムーズに行った従業員・クライアントへの説明

当時、父の会社は15名の従業員を抱えていましたが、私の会社に移籍してこれまでの顧客を引き継いで事業を継続していくことに納得し、これまでの経営不振から抜け出せるという期待を持ち、私についてきてくれました。

また、当時大口のクライアントを複数抱えていましたが、どのクライアントも技術に信頼を置いていたことから、経営の意向計画に理解を示し、こちら側の無理な要求にも答えてくれました。

日本政策金融公庫の「新規開業資金」を狙う

従業員とクライアントへの説明がスムーズに行ったため、私は日本政策金融公庫を始め、地元信用金庫や地元地銀、ベンチャーキャピタルなど、複数の民間の金融機関に融資の相談に行きました。

融資の相談に行くのは初めてでしたが、金融機関に出向く時は、「自分はもうサラリーマンではなく経営者になったんだ」という気持ちで意気揚々と自信を持って臨んでいたことを今でも覚えています。

友人・知人のアドバイスから、まずは日本政策金融公庫に行くと良いということで、自分から公庫に連絡をし、アポイントを取りました。

担当者と噛み合わない会話、そして断りの結果

私が起こした会社自体は、起業して数ヶ月資本金も100万円だったため、日本政策金融公庫の国民生活事業の窓口に相談に行きました。

先述のように、私の会社は起業して間もない会社ではありましたが、父の会社から従業員と顧客を事実上引き継いでいる形になっていたため、現実的には一定程度スケールをした会社で、私もその前提で話を進めました。

しかし、国民生活事業の担当者は通常従業員なし、顧客無しのゼロからの融資を主に扱っているため、私が話をする事業承継的な話や既に大口の顧客を持っているということに対して現実的なイメージが湧かないようで、何となく話が噛み合っていない印象を受けました。

私の大手企業で勤務したキャリアや、市の起業家育成プログラムに選抜・採択されていることなどについては一定程度評価してもらいましたが、その他のことについては「懐疑的」というスタンスでした。

その後、何回かやり取りを重ね、必要書類を一式揃え、融資の申し込みをしましたが、結果は「融資不可」ということでした。

私は、自分の起業のアイデアや社員の技術、そして事業の移行の計画に自信を持っていたため、「融資不可」の連絡をもらった時は目の前が真っ暗になったような気がしました。

資金繰りもいよいよ厳しくなり、私はますます精神的に追い込まれていきました。

次々と断られる融資とその理由

しかし、そこで落ち込んでいるわけにもいかず、他の金融機関に融資の相談に出向きました。地元の地銀、信用金庫、様々なところをあたってみました。

主に事業承継ではなく、創業支援関係の融資を狙いにいきましたが、起業して間もない会社がプロパーの融資を受けられるはずはなく、どの金融機関も信用保証協会の保証付きの融資という条件を出してきました。

ここで私は初めて、「信用保証協会」なるものの存在を知るわけですが、どこの金融機関からも「信用保証協会と協議した結果、融資はお断りさせていただくこととなりました」という回答をもらい、私の信用保証協会に対する不信感はどんどん募っていきました。

友人の経営者から銀行を紹介してもらう

融資を断れ続け、資金繰りがさらに厳しくなっていく中で、私は不動産の経営で成功している友人に相談に行きました。

友人は自分の気持ちを察してくれて、金融機関の担当者と支店長を紹介してくれました。

自分は、その金融機関の担当者に自分が新規に起こす事業と、父から承継するIT系の事業のそれぞれの事業計画を自信を持って、一生懸命プレゼンしました。

プレゼンに対する担当者の反応も良く、私は「これならいける!」という確信を持ちましたが、結果は残念なことに、これまでの金融機関と同じく、「信用保証協会と協議した結果、融資はお断りさせていただくこととなりました」というものでした。

その結果を受け、私は目の前が真っ暗になり、ついに、信用保証協会に直接出向いて、融資ができない理由を問い合わせることを決意しました。

信用保証協会の答え

私は商工会議所に問い合わせ、信用保証協会の担当者を紹介してもらいました。

担当者は最近昇格したばかりの課長代理の女性で、私の立場や境遇に理解を示し、その場で担当部長に私を繋いでくれました。部長は、真摯な印象の方で、課長代理の女性同様に、私の気持ちを汲んでくれましたが、「何故、融資がもらえないか」という私の問いに対する答えは残酷なものでした。

「あなたが継ごうとしているお父さんの会社は民事再生会社であり、その会社の技術者とクライアントを使って、新しく会社を立ち上げるという事業計画は信用することはできない。信用が傷ついている会社の事業を受け継いで事業をすることに対して、金融機関も信用保証協会も理解を示すことはできない。自分の会社としての実績を作って出直して欲しい」と。

そして経営破綻へ

信用保証協会からの回答を受け、仕方なく知人から借金をし、事業を回していきましたが、会社はついに資金がショートし、従業員への給料も払えなくなり、倒産を前提とした休業へと追い込まれました。この経験は筆舌に尽くしがたいものがありますが、ここで得た教訓をまとめると、私のような事業承継型の起業をする場合、銀行や信用金庫に融資の相談に行くのと並行して、信用保証協会にも話をして、事業を引き継ぐ元の信用情報のチェックをした方が良い、ということです。

POINT事業承継型の起業をする場合、銀行や信用金庫に融資の相談に行くのと並行して、信用保証協会にも話をして、事業を引き継ぐ元の信用情報のチェックをした方が良い

以上、【起業から経営破綻まで】信用保証協会から「融資不可」を突きつけられた理由とは?…でした。

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学習院大学卒博士(サンフランシスコ州立大学)孔子経営賞 受賞(26年度)
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