担保がある場合の資金調達方法(ノンバンク編)
ノンバンクの中には、不動産や売掛金等を担保にした融資をメインにしているところがあります。無担保融資の場合は代表者個人の信用情報が審査において非常に重視され、もし代表者の過去に金融事故を起こしてしまった場合等は、個人情報機関に登録されてしまうので、なかなか融資が実行されませんが、担保を提供することができる有担保融資の場合は、担保となる物自体が融資を行う上での評価対象となるので、個人情報はほとんど影響しません。尚、担保として最もメジャーなものは不動産ですが、それ以外にもがあります。
主な担保融資
1.不動産担保融資
2.売掛債権担保融資
3.生命保険担保融資
4.手形割引
不動産担保融資
不動産担保融資を専門で行っているノンバンクは多数あります。ちなみに、銀行に不動産を担保に入れて融資を受ける場合との違いは、不動産担保の評価額を比較的高く見積もってもらえることと、不動産価値を重視して審査を行ってもらえることです。
銀行で不動産を担保評価する場合、土地では時価の70%程度ですが、不動産担保専門のノンバンクの場合、時価の90%~100%あたりで評価してもらえる場合が多いです。
それだけ担保評価を高く見てくれるため、銀行に比べて多くの融資を受けることが可能となります。また原稿が抵当権(根抵当権)を付けている土地に、後順位で抵当権(根抵当権)をつけて融資を受けることもできます。
また銀行は、不動産の担保価値よりも融資先の企業の決算書を重視して融資審査を行いますので、たとえ担保予定の不動産の評価が高くても、決算書の内容が悪い売は融資が困難になる場合も少なくありません。
他方、不動産担保専門のノンバンクの場合は、決算の内容はほとんど評価せず、単純に担保不動産の価値だけで評価してもらえる場合がほとんどです。
尚、ノンバンクでの不動産担保融資の平均的な金利は4%~10%前後ですが、銀行系のノンバンクの場合、金利が低くなる傾向が強いですが、その代わり審査が厳しめになり、銀行系以外のノンバンクの場合、金利が高めですが、審査が甘くなる傾向があります。
また、不動産担保融資を行うノンバンクには全国対応のものもあれば、地域限定のものもあります。尚、ノンバンクが不動産を評価する場合の基準の一つが、「売り易さ」です。というのも、万が一返済ができなくなった場合、競売で不動産を売却するのですが、その際にすぐに売れるような人気物件の方が好まれるからです。
ノンバンクの不動産担保融資は、不動産の流通性をシビアに見て担保評価を行うため、流通性が低い地域の不動産は担保価値を評価してもらえないことが多く、そこがノンバンクによる不動産担保融資のデメリットではあります。
売掛債権担保融資
売掛金を担保とした融資は、ノンバンクだけではなく銀行でも行っているのですが、銀行にとっては売掛金を毎月管理する煩雑さから、実際にはほとんど行われていません。しかし、売掛債権担保融資に力を入れているノンバンクの場合、ノウハウが蓄積されているので、この方法で融資を実行してもらえます。
売掛金にも付1回限りの契約金のようなものから、毎月継続的に一定額が入ってくるようなものなどあります。継続的な売上取引であれば、それらを束ねると常にまとまった金額の売掛金が存在することになります。このようにまおtまった金額の売掛金が常に存在する会社の方が融資を受けやすくなります。
尚、売掛金担保融資には、次のいずれかが必要になります。
1.売掛先への通知
2.売掛先からの承諾
3.融資を受ける会社の登記簿への債権譲渡登記
尚、多くの経営者が「売掛先に通知がいくのはマズイ・・」と思うのですが、3を行った倍場合だと売掛先に知らせないで売掛債権担保融資を行うことが可能です。また、実際に3を選択する経営者がほとんどです。
但し、3を選択する場合の大きなデメリットとしては、この債権譲渡登記が必要なことです。銀行は融資先企業の情報を調べる場合、この債権譲渡登記の有無をチェックしている場合が多いです。
また、取引先の中にはインターネット上で登記情報提供サービスがありますので、登記簿謄本をチェックして債権譲渡登記を見られてしまう可能性もあります。
そのような理由から、なかなか売掛債権担保融資による資金調達ができない企業も多くあります。尚、金利は5%~15%程度です。
生命保険担保融資
解約すると契約返戻金が戻ってくる生命保険の場合、その生命保険を担保に融資を受けることができます。融資を受ける時点で解約したとした場合、解約返戻金の7~9割程度の融資をしてもらえます。金利は3~4%程度です。
尚、保険会社によっては解約返戻金の7割しか融資を受けられないところがありますが、そこから2割上乗せした9割で、保険会社の代わりに保険証券を担保として融資をしてくれるノンバンクがあります。
解約返戻金がある生命保険をかけていて、その保険を担保にした融資を受けていないのであれば、生命保険会社から融資を受けられるかもしれません。
他方、すでにそれを使って融資を受けている場合は、解約返戻金の何割の融資がされているのかを調べて、保険証券を担保にしてさらに多くの融資を受けられないかをノンバンクに相談するようにしましょう。
手形割引
手形取引を行っている企業の場合、手形割引で資金調達したいのに、手形の支払企業の信用状況が悪く、さらに自社の業績も芳しくないような場合、銀行が手形を割り引いてくれない場合があります。
また、銀行で手形割引を普段から行っている場合、その銀行で手形割引とは別に受けている融資のリスケジュールを行うと、銀行によってはその後の手形割引を行うことができなくなることもあります。
このような場合、金利は高くなりますが、手形割引専門のノンバンクで手形割引を行うことができます。
ノンバンクの有担保融資には、上記以外にも上場株式や国債、社債等の有価証券の担保で融資を実行してくれるところもあります。但し、経営者の中には在庫商品を担保にしたいという人もいますが、ノンバンクでは在庫を担保評価はしてもらえません。